『メゾン・ド・ヒミコ』(2005)

監督: 犬童一心
脚本: 渡辺あや
出演: オダギリジョー柴咲コウ田中泯西島秀俊 他
 
メゾン・ド・ヒミコ 通常版 [DVD] 
   
【あらすじ】塗装会社で事務員として働く沙織のもとに一人の若い男性が訪ねてくる。岸本春彦と名乗るその男性は、沙織が幼いときに家を出ていった父、照雄の現在の恋人だという。有名なゲイバー“卑弥呼”の二代目を継ぎ成功した照雄は、その後店を畳んでゲイのための老人ホーム“メゾン・ド・ヒミコ”を建てて自らそこで暮らしていた。春彦は、その父が癌で死期が近いことを沙織に伝え、ホームを手伝わないかと誘う。自分と母を捨てた父を許すことができない沙織だったが、破格の日給と遺産の話しに心動かされ、ついにはホームへとやって来るのだが・・・。
 
 
ジョゼと虎と魚たち」に続いて監督の犬童一心と脚本の渡辺あや
久々に手を組んで出来た2作目が、この『メゾン・ド・ヒミコ』。
まあ、そう言われると『ジョゼと虎と魚たち』が好きなぼくとしては、
やっぱり期待して見てしまったわけで・・・。
それでも、なかなか面白かったですかね。
 
人は1人で生まれて1人で死んでいく孤独な生き物・・・まあ例外もありますが。
だから、生きている間くらいは、好きな人と居たい。
まあ、いろいろ思うところはあるんですが、
一つそんな事もちょっとだけ思ってしまったりして。
 
沙織を演じる柴咲コウ、最初はブスなわけなんですが
まあ、ブスというのは中身が顔に出てブスに見えるといった感じなわけです。
いつもムスっと、しかめっ面でね、ゲイたちを軽蔑した目で見る。
ホームのゲイたちに紹介される時「この人ニューハーフなのよ」と胸を揉まれる。
で、ルビーというゲイに「あんたブスッとしたブスなんか、婆のオカマより嫌われるわよ」ってね。
コレは肩幅があって、筋トレしている柴咲コウ相手だからこそ出てくるセリフです。
また、バニーガールになれなかった・・・というエピソードも彼女だからこそシックリくると。
しかし物語が進むにつれて、心の変化に従い、顔も良く見えてくる。
ラスト春彦に「キスしてもいいですか?」とマスクを捲られた時の表情は良かったな、と。
あ、関係ないけどアニメヒロインの振り付けを真似る時も、なんか可愛かった。
演技がどうたら言える立場じゃないけど、はじめて柴咲コウを演技面で素敵な女優だと思った。
  
そして、やっぱりなんですがオダギリジョーという俳優は素晴らしいな、と。
水風船?をぶつけてきた中学生に『お前、次ぎ殺すぞ』と
静かに言った時の演技には正直ゾクゾクっとしました。
 
また西島秀俊が演じる細川専務が映画に良いアクセントを与えていると思います。
自分たちの思う、本当の愛を求めた為に世間から迫害され、嫌がらせを受けるホームの彼らと
社会的な地位と妻子を持ち、なおかつセックスの相手にもこと欠かさないのだが、
愛を感じさせない細川専務の存在が、何か対照的に感じられ印象的でした。
 
最後にディスコでのダンスシーンだけは、ちょっと悪ノリし過ぎのように思うし
また、そこに居合わせた「会社に言いふらす」と言っていた昔の知り合い。
あのままじゃ、どうにも気が治まらないんですけど。
 
 
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