『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章』(2006)

監督: 今村隆寛
原作: 武論尊(作)、原哲夫(画)

声の出演: 宇梶剛士ラオウ)、阿部寛ケンシロウ)、柴咲コウ(レイナ) 他
 

 
【あらすじ】核戦争後の近未来。暴力が支配する混沌の世界。究極の暗殺拳北斗神拳は一子相伝の厳格な掟の下、長兄ラオウ、次兄トキ、末弟ケンシロウの中から、正統伝承者としてケンシロウが選ばれる。民衆と共に闘い続け、いつしか救世主と呼ばれるようになるケンシロウ。一方ラオウは、師父リュウケンと決別、自ら拳王を名乗り、戦乱の世の覇者となる野望を抱き突き進んでいた。そんなラオウの胸に秘められた哀しき真実を、彼の親衛隊を率いる美しき猛将レイナだけは知っていた…。
 
簡単に言いますと、この作品「劇場版 北斗の拳2」と言っても良いかもしれない。
考えてみれば「北斗の拳」の劇場版アニメ化は、86年に1度作られているのですが、今回の作品ちょうどその続きと言っていいかもしれません。
という事でこの作品、「北斗の拳」というマンガを知らない人には、かなり説明不足の作品となっております。
 
まあ、それは良いとしますよ。
今まで『北斗の拳』というマンガを愛し続けたファンへ向けた、いや、ファンにだけ贈るプレゼント的作品と言うのであれば。
しかし、そうでもないんですよね・・・。
 
北斗の拳」の面白さの一つに、魅力ある強敵たちというのがあるのだが、この作品ではソコがぜんぜん描かれていない。
たとえば聖帝サウザーの扱いかた。
お師さんとのエピソード丸々カットってどういうことよ。
これじゃあ「愛ゆえに・・・」というサウザーの名台詞が ぜんっぜん生きてこないし!
ケンシロウがなぜvsサウザーのフィニッシュに「北斗有情猛翔破」使ったのか。
その理由も、その意味も、これじゃあ伝わらないし! 
ってかこれじゃあ、初めての人にはサウザーがただのワガママ野郎にしか見えないし。
ケンシロウなんかより断然愛の深いサウザーが大好きなぼくはどう見ればいいのさ・・・。
    
ちょっと話題になった阿部寛によるケンシロウ。これはまあまあいける。
もともとあってて違和感ないし、ブルース・リー調の怪鳥音も、これから続けていけば良くなりそう。
しかし、セリフを聞いていると、時たま阿部寛の顔を思い出してしまう。
コノ感覚はちょうどクリカンこと栗田貫一がやるルパン三世を見ている時に近い。
 
もう一人ラオウ演じる宇梶さん。
こりゃ酷い。
もともとの声質はもちろん、メリハリのない(棒読みとも言うかな)喋りはラオウという名キャラクターをダメにしかねない。
 
それとクオリティですけど、悪くないんですよ。
でももうちょっと全体的に統一してほしい。
良い所はトコトン良いんですよ。
たとえばケンシロウvsシュウとかケンシロウvsサウザーの対決シーンは劇場で見る価値十分の出来の良さ。
でも、その良さが作品全体に行き届いていないんです。
もうちょっと時間かけて、作品全体のクオリティを一番良い所にあわせてほしかった。
 
とにかく「北斗の拳」をぜんぜん知らない人には、 この作品を見に行かないで欲しい。
どうしても見に行きたいというのであれば、 単行本11巻「愛深きゆえに堕つ!」までを読んでからにしてね。【65点】
  
 
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