『SPIRIT スピリット』(2006)

監督: ロニー・ユー
アクション監督: ユエン・ウーピン
出演: ジェット・リー中村獅童スン・リー原田眞人、ドン・ヨン、コリン・チョウ
    ネイサン・ジョーンズ

 

 
【あらすじ】優れた武術家を父に持つ少年フォ・ユァンジア。強さに憧れを抱くフォだったが、息子が同じ道に進むことを嫌った父は稽古をつけることを拒み続けた。だが、彼は秘かに鍛錬を積み、やがて天津一の格闘家へと成長する。高まる名声とともに傲慢さも増したフォはある日、大ケガをした弟子の仇をとろうとして、怒りのあまり相手を殺めてしまう。しかし、その報復がフォの家族に及んだとき、フォは絶望の果てに天津を離れ、放浪の旅へと出るのだった。そして、数々の苦難の末にフォは本当の強さというものを知る。ついに彼は天津に帰る決心をする。そんなフォを待ち受けていたのは、世界中から戦いの猛者が集い開催された世界初の異種格闘技の大会だった。
 
ジェット・リー「最後のマーシャル・アーツ映画」と言うだけあり、その出来は近年のジェット・リーいや、ここではあえてリー・リンチェイと書くが、彼の節目となる集大成的作品と言って良いと思います。
 
20世紀初頭に実在した中国の武術家である霍元甲(フォ・ユァンジア)の話ではあるが、実にシンプルでわかりやすい話となっていて話はポンポン進み、あっという間の103分でした。
多分そのほとんどが史実とは異なるフィクションなのでしょうが、決して中身がスカスカの身の無い軽い話というわけではない。
  
見終わった後、物語上の霍元甲の最後とリンチェイが言う「最後のマーシャル・アーツ映画」という言葉が、何かダブってしまい、何か切ない気分になってしまった。
見る人によってその場所は異なるがCMで見た人が「泣ける」と言っていたのは、まんざら大げさでは無いと思った。
 

  
最大の見せ場である格闘シーンは大満足であった。
最近はハリウッド系や韓国映画にもカンフーのような格闘アクションがよく登場するようになったが、どれもどこかで見たような、真似事を見せられているような感覚にさせられていた。
これは単純にいままで多くのカンフー作品を見てきたせいで、そう見えてしまうのも仕方が無いと半ば諦めていた。
が、どうしたことか、今回この『SPIRIT』の格闘アクションを見ていてもそんな感覚はぜんぜん襲ってこないではありませんか。
それどころか、逆にとても新鮮のような感覚さえあるような。
リンチェイの本物のカンフーとユエン・ウーピンのコラボは、現在出来る最高峰の格闘アクションを生み出したのではないかとさえ思えてきた。
 

 
残念なところを強いて上げれば、ベストコンディションの霍元甲中村獅童が演じる田中安野の素手による対決が見れなかったことだろうか。
それと田中安野のアクションのそのほとんどが中村獅童でないのがバレバレなところはちょっと残念ではある。
でも、ホントにほんのちょっとのことなんですけどね。
少ないけど、ちゃんとリンチェイと絡んでいるし、同じ日本人として決して恥ずかしくない。
 
とにかく、このレベルの、こんな良質のカンフーアクションが見れる映画は、そうそうできないのではないだろうか。
まあ、コレを超えるモノが出来たら出来たで嬉しいんですけどね。【90点】
  
 
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