『サイレン FORBIDDEN SIREN』(2006)

監督: 堤幸彦
出演: 市川由衣森本レオ田中直樹阿部寛西田尚美松尾スズキ嶋田久作 他

 
 
    
【あらすじ】1976年、謎のサイレンの音と共に一夜にして全島民が消失するという未曾有の怪事件が起きた夜美島。事件は未解決のまま、いつしか闇に葬り去られた――。すっかり平穏を取り戻した現在の夜美島に、病弱な弟の転地療養のためフリーライターの父と共に引っ越してきた天本由貴。弟の担当医・南田豊の案内で島を巡る由貴たちに粘り着くような視線を送る島の人々。引っ越しを手伝ってくれた隣家の里美は、帰りぎわに“サイレンが鳴ったら外に出てはならない”と不可解な警告を由貴に残していく。しかしそれは、由貴が直面する数々の謎と恐怖のはじまりにすぎなかった…。
 
 
人気シリーズの「ケイゾク」「トリック」の堤幸彦による同名のゲームソフトの映画化。
堤監督らしい演出が随所に効いていて、彼の演出作品が好きな方ならニヤッとするだろう。しかし今回のようなホラー作品では、それは致命傷と言って良いのではないでしょうか。だってぜんぜん怖くないんですもの、ホラーのくせに。
簡単に言ってしまえば、ギャグが無くぜんぜん笑えない「トリック」と言ったところかな。
 
怖がらせるという事において大切と思われる一つに”リアリティ”というものがあると思うんですよね。たとえば、そのリアリティが平凡な日常生活に近ければ近いほど、見ているこちら側にも他人事ではない恐怖を感じさせるのではないかな、と。
そういった意味でこの作品はまるでダメ。
 
まず登場人物の演技が皆オーバー。特にしょっぱなの消防士かレンジャーだか救助隊だか、とにかく彼らのコントのような演技には度肝を抜かれました。
「トリック」や「池袋ウエストゲートパーク」ではウケたとしても、ホラーじゃコレは逆効果なんですよね。  
それに映画なんだから見てわかるっつーのに「誰もいない・・・」だのなんだの、やたら独り言を喋って状況を説明するのもいかがなものかな、と。
 
それに阿部寛が残す手帳というかメモ帳ですか?
その内容、メッセージの字がデカイ!とても読みやすい!
あれじゃあ、日本科学技術大学教授上田次郎どんと来い、超常現象でしょ?
 
思うに堤幸彦の面白さである”今時コレかよ!”というわざとらしい演出は、ホラーには不向きなのでしょう。
  
クライマックスで、一つまた一つと謎が明らかになっていくところは結構楽しめました。
ココで登場人物の不可解な行動の理由の一部がわかりましたしね。
でも、ホントに一部なんですよね。
説明がつかない?もしくは、はなっから意味が無いのか?よくわからないところがいっぱい残されています。
 

 
<<この先はネタバレになります>>
ってか、このオチって何でもありだよなぁ、と思ってみたりします。
だって、それまで見てきたお話のほとんどがヒロインの幻覚なんですよ。
おかしいこと、怪しいこと、すべて幻覚だったと言われたらどうしようもないですよね。

この作品を見て怖がっている観客を見せるCM映像がありますよね。
あれ、多分怖いというより音などにビックリしているのも多いと思いますよ。
ってか、目を隠したり耳を塞いだりしている客の評価なんか当てにならないよね。 【35点】 
  
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