『サスペクト・ゼロ』(2004)

監督： Ｅ・エリアス・マーヒッジ
出演： アーロン・エッカート、ベン・キングズレー、キャリー＝アン・モス 他
　　　

　
【あらすじ】連続殺人犯の不当逮捕が原因で、ニューメキシコ州の片田舎アルバカーキに左遷されたＦＢＩ捜査官のトム・マッケルウェイ。赴任初日から連続殺人事件が発生、いずれの死体も、まぶたが切り取られ、０（ゼロ）のマークが残されていた。マッケルウェイは原因不明の頭痛に悩まされながらも捜査を続けるが、一向に解明の糸口すら見えてこない。そんな時、捜査線上にベンジャミン・オライアンという一人の男が浮上してくるのだが…。
　
これは騙された、イイ意味で。正直観る前は「あれなんだっけ？ジャン・レノのあれ、ほらサスペンスの･･･」みたいにそこそこ観れちゃうんだけど特に記憶に残らない程度のサスペンス・スリラー（『クリムゾン・リバー』）かなぁ、と思っていたんですけど、かなり楽しめました。
まず気に入ったところは、その着眼点でしょうか。簡単に言ってしまえばテレビの２時間スペシャルかなんかで念写などの超能力で行方不明者なんか探すのありますよね？まあ、その能力を使って連続殺人犯を追うって感じですよね、コレ。結構使い古された感はあるかもしれませんが、変にＳＦっぽくないリアリティある物語の中に、このような非現実的能力をポンと入れられると弱いんですよね、わたしｗ。超能力者の悲しみが描いている所なんかも凄く良いし、この辺わたしの大好きな連続ドラマ『ミレニアム』に通ずるところありますかね。だからといって、けして二番煎じと言うわけでもありません。
　
そして、最も気に入ったのは、捕まる事も無く国中を旅する連続殺人犯「サスペクト（容疑者）ゼロ」の存在なんです。パターンを持たず、特定の物への執着もなく、証拠も残さない。存在はするが気づかれない連続殺人犯がいたら？常々プロファイリングばかりで犯人を追うような無理のあるドラマに疑問を持っていた私には、かなり衝撃的な犯人像でした。
しかし、この犯人像にも落とし穴がありまして、イマイチ印象に残りづらいというか、インパクトにかけるというか･･･。大抵のシリアルキラーは、執着心やパターンから来るヘンタイ性が、観ているものに恐ろしさを与えたりするものだが、その辺が一切ないんですよね。
最終的に捕まる犯人も実際どの程度の悪さを働いたのかハッキリ見せてもらえませんし。まあ、あえてそういうところを描かなかったのかもしれませんが、私としてはちょっと不満でもありました。
　
最後にこの作品が「マトリックス」シリーズ終わってからの初仕事となるキャリー＝アン・モスですが、彼女が演じるFBIの女性捜査官がまた中途半端でどうでも良い感じでしたねェ。ってか、これからキャリー＝アン・モスって女優として大丈夫なんでしょうか。